幼なじみな彼☆ふたりのHappy Birthday

誰もいない静かな水族館の中。



それは、何よりも嬉しい、優君からの誕生日プレゼント。



「やっとこんな俺でも月ちゃんを守ってあげられるな……」



唇が離れると、優君の声が聞こえた。



「せっかく来たんだから、全部観ようよ」



それから二人でゆっくりと館内を歩いた。



小さい頃来た時は、まだ幼くて、ただ楽しかったっけ。



高校生の頃に来た時は、付き合っているわけでもなくて、微妙な距離だったんだよね。



そして、今のあたしと優君。



時間を気にすることなく、こうして手を繋いで歩いてる。



「貸し切りなんて信じられないっ……」



イルカのショーの観客席には、本当にあたしと優君だけだった。



あたしたちの座るすぐ前で、



イルカたちが水しぶきを上げて、大きく何度もジャンプする。



「こんな目の前で観るの初めてっ」



「これくらいのサプライズくらいしなきゃさ♪」



感激と驚きのあたしを嬉しそうに見つめる優君。