いつもなら笑って簡単に言えてた“バイバイ”



でも今日言わなきゃいけなかったのは、



いつもとは全く違う意味の“バイバイ”だから。



優星の口からも、そんな言葉は聞きたくなかった。



だって、もしそれを言ったら、本当にもう会えなくなってしまいそうで怖かったんだ。



7歳のあたしには、とても耐えられなかった。



「全く月魅ったら、いくら優君と離れ離れになるのが悲しいからって、せめて、さよならくらいちゃんと言えばいいのに……。ごめんなさいね、優君」



走っていくあたしを見て、ママが呆れ顔でつぶやく。



「言えなかったのよ……きっと。私も月ちゃんの気持ち、よく分かるわ。優星だって、月ちゃんのそばにいたいから、引っ越ししたくないって泣いてパパにお願いしてたものね」



優星のママはそう言って、優星の肩をポンっと叩いた。



ママの言葉に少し恥ずかしそうにしながら、頷いた優星は、



あたしの姿が見えなくなると、手に持っていた包みをそっと開けた。