「月ちゃん……?? どうしたの??」



優星が心配して、そばまで来てあたしの顔を覗き込む。



それでもあたしは笑顔さえ作れなかった。



これでお別れなのに、これが最後かもしれないのに。



笑顔で優君を見送りたい……そう思っていたのに。



こんな態度じゃいけないって思っても、



どうしてもお別れの言葉は言えなかった。



「……あげるっ……これ、優君にあげるね」



やっと、口から出た言葉は、



聞き取れるか、聞き取れないかの小さな声。



あたしは、折り紙で包んだ小さな包みを、ポケットから取り出して優星に手渡した。



「これ、僕に?? ありがとう。月ちゃん……」



優星は、それを嬉しそうに受け取ると、



あたしに、何か次の言葉を言おうとしていたけど、



あたしは、それさえも待てずに、



いてもたってもいられなくなって、



その場から勢いよく走り去ってしまった。