着いた途端、よみがえってくる記憶。



あたしと優君は、あの時もこうして手を繋いでいたっけ。



「月ちゃん、ここ覚えてる??」



「うん。なんか懐かしいね」



最近ずっと忘れていた昔のこと。



優君といると自然にそれを思い出すことが出来る。



館内に入ると、リニューアルはされているものの、



昔と印象は変わらなくて、入り口近くにある大きな水槽を眺めた。



色とりどりの綺麗な魚たち。



泳ぎを見せびらかすように優雅に泳ぐものもいれば、



岩陰でジッと隠れるように動かないものもいる。



こうしていくら見ていても飽きないから水族館は好きなんだよね。



しばらく黙ったまま水槽を見ていた優君が、



「こいつらって、あの頃いた魚かなっ??」



ヒラヒラと目の前を泳ぐ魚を指差してつぶやいた。