何の為に、俺は家を出たんだよ。







パーティーなんか行ったら……



今までの俺の苦労は、全部……水の泡だ。






でも……






前回のパーティーで、行った麗子の言葉………アレは間違ってはいない。





 

麗子は、俺の婚約者。






しかも、政略結婚。






この結婚には、小野原財閥グループの未来がかかっている。







それに、結婚なんてしないと拒否しても……きっと結果は変わらない。








だって、俺の親父は手段を選ばないのだから。








財閥の為なら誰かを犠牲にしても……例え………大切な者を傷付けてでも。







そして、親父は自分の命を……




財閥に全て尽くしている。










最初の頃の俺の考えなんてものは甘かった。





満里南と結婚すると決めて……分かった。








あぁ……俺は……もう自由にはなれないんだ。






麗子と親父の手段を選ばない手口……






その体験をして俺は、もう自由にはなれないことを改めて思い知らされた。








俺は、昔のことを思い出しながら裏口を出て煙草に火を付けた。







もう、冬に近付いている夜の外は凄く肌寒い。








「寒ぃ……」







いつか………アイツと……捺海と別れを告げる日が来る。






それだけは、今分かる。