尚希の指が、あたしの濡れた髪を触りドライヤーから出て来る暖かい風を当てた。









「熱くねぇーか??」







「うん、大丈夫……」









ほらっ、やっぱり優しい。








いつもなら、自分から乾かすなんて絶対に言わない。






それに、いちいち聞いてくるようなことだってしない。








尚希の指は、あたしの反乾きになっている髪を優しく触る。







時々、アイツの指が自分の首に触れる度にいちいちドキッとしてしまう面倒な自分。











「髪乾かし終わった。」







「ありがとう。」







でも、コイツが自分から面倒なことをするってことは……何か企んでるんじゃないんだろうか。








そんなことを考えていることも知らない尚希は、クシであたしの髪を整えている。








すると、尚希は独り言のように……







「お前、髪伸びたな。」







そう言いながら、あたしの整った髪を触るアイツ。








「そう??


そろそろ、切ろうかなー」







「駄目だ、切るな。」









即答かよ……







「何でよ、良いじゃん別に。」







すると、尚希は不機嫌な顔をした。








って言うか何で、アンタに言われなくちゃいけない訳??








あたしの髪なんだから、あ・た・し・が決めるの!!