大きな窓から見える、屋敷を走って出て行く後ろ姿。 俺の……大切な愛しい女…… 後ろ姿を見るだけで、捺海だと分かるほど俺はアイツに夢中だった。 自分でも、呆れるぐらいに…… 段々と小さくなって行く捺海の華奢な姿をただ、ジッと見つめる。 もう、これでー……俺と捺海が会うことはない。あの愛しい姿も見ることも今日で最後。 「これで、よかったんだよな……」 俺は、自分にそう言い聞かせて心のどこかで迷いがある自分を隠そうとする。 上着のポケットに手を入れるとひんやりと冷たいものを感じた。