……なんで、あたしこんなことにいるんだろ。
「……砂糖入れる?」
「あ、ビターで」
キッチンで、香り高いコーヒーを入れる甲斐君にそう言って周囲を拝見する。
尚希くらいの無駄に広い部屋には及ばないが、さすがホストNo.5なだけあって甲斐君の部屋もかなり広い。
「飲め、少しは落ち着く……」
甲斐君は、そう言ってソファーに座るあたしに温かいコーヒーが入ったマグカップを渡す。
いい香り……
「……ん、美味しい……」
甲斐君が、入れてくれたコーヒーを口に入れるとコーヒーの香りが口に広がった。
コーヒーの香りと温かさに心が、何故か一気にホッとし目頭が熱くなった。