少なくとも、あたしはそんな物はいらない。






寧ろ、欲しくもない。








そんな物に望み憧れ縋り付く馬鹿な奴は、しょせん騙されて良いように利用されるだけ。






だから、そんな馬鹿な奴等を今度はあたしが利用してやるの。








あたしは、空を見上げるのをやめて再び歩きだした。









そして、手に持っていた携帯の画面を見つめる。








「今日は、誰を利用してあげようかな……」









この時のあたしは、まだ17歳になったばかりの……春の季節。









そう……あたしは、まだこの時……気付いていなかった。








ある一人の男によって、あたしの人生が大きく変わることに。








17度目の春……





あたしは、アイツと……






小野原尚希と出逢うことになる。








春の季節には、決して似合わない真っ黒な曇り空が広がる雨の日に。








だけど、あたしと尚希が出逢うのはー…… 






後もう少し経ってからの話。