尚希は、荒れた息を整えて呆然と立ち尽くすあたしに近付いて来た。








「何で……」








真っ直ぐあたしを見る、尚希のその瞳を見ることが出来ず思わず目を逸らす。







「お前……何、勝手に出て行こうとしてんだよ」








あたしは、本当に矛盾過ぎる。







だって……尚希が、あたしを追いかけて来たのを知ってあたし思っちゃったんだ……






嬉しいだなんて。








「言ったよな?


俺と別れるのはー……俺様の許可がないと出来ねぇーって」








「……意味…分かんない。


何で……追いかけてくんの?


あたしはー……」







本当は、嬉しいと思っていても思ってはいない言葉を口にするあたし。








グイッ……!!







突然、尚希に肩を掴まれそのまま尚希の腕の中にすっぽりと入ってしまった。








「離してよ……」








あたしが、そう言うと尚希の腕に強い力が入る。








「嫌だ……」





「離して……!」




 



あたしは、力一杯に抵抗し尚希から離れようとする。