俺のおふくろは、昔から体が弱かった。








その上、俺を産んだせいで余計に体は弱くなった。








最初は、メシの後に毎日薬を飲んでいる生活だった。








けど、ある日……おふくろは突然倒れた。







俺の目の前で……





俺が、まだ6歳の時に。







おふくろが、倒れた……なのに、親父は見舞いに一度も来なかった。







何で、来ないかなんて小さい俺でも分かっていた。








二人は、夫婦であり夫婦ではない。









親父は、いつも仕事ばかりしている奴だった。








だから、俺は親父とほとんど会話をしていない。







そんな俺達を見て優しいおふくろは、誰よりも俺を可愛いがってくれた。








そして、おふくろは口癖のようによく言っていた。









(ねぇ、尚希はお父さんが好き??)








「ううん……だって、お父様……




お母様のこと嫌ってるんだもん。」









涙目になりながら俯いているとー……








俺の頭を優しく撫でた。








(そうね……あの人は仕事ばかりな人ね。




けどね……尚希。

  

私は、あの人のことを心から愛してるのよ。

   


仕事で、会えなくっても……





あの人を愛しているの。




いつか、分かるわ尚希にも。)









当然、小さかった俺にとっておふくろの話なんて全く分からなかった。