昼過ぎだって言うのに、校舎と校舎に挟まれた非常階段は薄暗く、人気もないせいか凄く静かだ


「泣きたい時はミルクティーが良いのよ♪
 ほら、飲んで!!」


意味の分からない事を言いながら、仁美ちんから手渡されたミルクティーのペットボトルを受け取り、私はミルクティーに口をつけた

すると甘く冷たいミルクティーが、私の落ち込んだ心を甘く溶かしてくれるみたいに、何だか自然と涙が溢れてきて、涙が止まらなくなってしまった

泣きたい時はミルクティー

まさに仁美ちんの言う通りになっちゃったなぁ~

なぁ~んて、そんな事を考えると今度は可笑しくなって、泣きながら笑いが出てしまって、仁美ちんには泣くか笑うかどっちかにしなさいって言われちゃった









それから私は仁美ちんに先輩との出逢いから、自分の気持ちを話し始めたのだった

先輩を見るとドキドキするとか、緊張するとか、何を話して良いのか焦ったり頭が真っ白になるとか、胸が苦しくなるとか、そんなような事を一気に話した


「悠璃、それって恋なんじゃない?」

「鯉?」

「魚の鯉じゃないからね!!
 つまり、悠璃は先輩の事が好きだって言ってるのよ
 もっと近付きたい
 先輩がいるかもって目で追ったり
 子供扱いされたくないとか、先輩に似合うような女になりたいとか、頭の中で先輩の事ばかり考えたり、そう思ったりしてない?」

「‥‥してるかもしれない」

「でしょ~
 やっぱり恋よ
 悠璃は恋をしてるのよ~
 おめでとう♪」

「わっ‥‥!!」


いきなり仁美ちんに抱き付かれ、ビックリしてしまった

愉しげに悠璃の初恋だねって喜んでくれる仁美ちん

初恋かぁ~

でも、初恋=失恋だもん

恋だと知って、即座に失恋って‥‥

なんだか自分があまりにも可哀想になってしまった