先輩と別れてから向かった教室に入るなり、私は溢れそうな涙を必死で流さないように目の前の席に座った

嫌い

タイプじゃない

その言葉が頭を支配し、時折見せた先輩の突き刺さるような冷たく痛い視線を思い出して、頭の中が混乱していた

私、何か嫌われる事したっけ?

でも、確実に嫌われている

それは確かだ

だけど思い返してみても、先輩と話したのはサークルの用紙を渡した時だけだったはず

あの時に何かしちゃったのかな?

それとも、痴漢が原因?

先輩が言ってた

守ってやりたくなる感じだって‥‥

そう言うのが、先輩のタイプじゃないって事だよね?

つまり頭の中を整理すると、痴漢を追い払う事も出来ず、守ってもらうような女は嫌いって事?










‥‥はぁ~

漸く理解出来た

私の全てを拒否られたって事だ‥‥

でも腑に落ちない

いきなり嫌われるなんて‥‥って、考えたら当たり前かぁ~

小・中・高校と男の子には嫌われてた

勿論、女の子にもだけど‥‥

私ってば馬鹿だなぁ~

綺羅達と友達になって、美咲ちゃんとも友達になれて、大学に入ってから良い事だらけだったから忘れてしまっていた

自分が如何に人から嫌われている存在だったのかって‥‥


でも、何でだろう

そんな事を分かっていたはずなのに、慣れていた事だったはずなのに、何故か先輩に嫌われてしまった事に傷付いている自分がいる


「悠璃
 って、あんた何て顔してるのよ!!」

「えっ?」


不意に呼ばれた名前に顔を上げてみると、そこには私の顔を見て驚いた顔をしている仁美ちんの顔があった


「な、何があったの?
 今にも泣き出しちゃいそうな顔しちゃって‥‥」

「な、何もない‥‥ょ」

「何もないはずがないでしょ?
 ちょっと、こっちにいらっしゃい!!」

「ひ、仁美ちん!!
 ちょっと痛いよ‥‥」


グイッと腕を引っ張られ、半ば強引に教室から連れ出された私は、あまり人気のない非常階段へと連れていかれた