密恋~貴方に触れたくて~

グイッ

不意に掴まれた腕

驚いて振り返ると、そこには桐生先輩の姿があった


「何処に行くつもりだ?
 まさか、被害届を取り下げに行くつもりじゃないだろうな?」

「えっ‥‥」


私の心を見透かすように言い放つ桐生先輩

ど、どうしよう‥‥

先輩に見つめられ、こんな状況なのにドキドキと心臓の鼓動が早くなる

掴まれた腕‥‥

いや、全身が熱い

そんな姿を見られたくなくて、つい俯いてしまった


「同情なんかすんな!!
 行くぞ!!」


先輩は吐き出すように言い、私の腕を掴んだまま引っ張るように歩き出した

身長の高い先輩は長い足でスタスタと歩いて行くので、私はついて行くので必死だった

駅に到着する時には、ハァーハァーと息を切らして両手を膝についてしまった


「電車に乗るのが怖いか?」

「えっ?
 い、いいえ‥‥
 大丈夫です
 そ、それより助けて下さって、本当に有難うございました」

「別に‥‥
 礼は、そこのコーヒーで良い」


お礼?

そうだよね?

何かお礼をしなきゃ‥‥

コーヒーで良いって言ったけど、取り敢えずアイスコーヒーで良いのかな?

ホット?

ミルクと砂糖は?

よく分からないけど、兎に角買って来なきゃ!!

私は、まだガクガクと震える足に力を入れて急いでド○ールに向かった


「いらっしゃいませ~」


爽やかな笑顔を見せるショップ店員さん


「ご注文はお決まりですか?」

「は、はい!!
 アイスコーヒーとホットコーヒーを下さい」

「サイズはどうしますか?」


サイズ?

そうか‥‥

S、M、L

どれが良いのかな?


「Lでお願いします」


ここは一番大きいサイズが良いよね?

そう思って返答を返した


「お持ち帰りですか?」

「いや‥‥
 俺はブラックだけど、悠璃ちゃんは?」