密恋~貴方に触れたくて~

これから事情聴取と言う事になって、女性の警察官が私の前にやって来てくれてホッとした

でも、どんな風に触られたと聞かれ、いくら女性の警察官だとはいえ、詳細を明確に説明するのには抵抗があった

何より被害届を出せば裁判になり、法廷でも話さなければならないと聞かされ、どうして良いのか分からなくなってしまった


「気持ちは分かるけど、同じような被害者を出さない為に協力してくれないかな?」


同じような被害者‥‥

確かに痴漢は許せない

許したくない

でも‥‥

色々な事が頭に浮かんで戸惑ってしまう

しかし女性警察官は被害届を出すだけ出し、もし嫌だったら取り下げる事も出来るからって説得され、一応被害届を提出する事にはなった

本当に良かったのだろうか‥‥

ふぅ~
思わず重たい溜め息が漏れる


「主人は‥‥
 夫は、本当に痴漢行為をしたんですか?
 冤罪じゃないんですか?
 前回だって、痴漢なんてしてないのに女子高生に痴漢だって言われてお金を払ったんですよ
 会社にバラされたくなければ10万円を払えって脅されて‥‥
 夫は高濱商事会社の部長なんですよ
 子供だっていますし、また痴漢のでっち上げをしようとした女のせいで夫は会社も解雇されてしまうかもしれない
 私達はどうなるんですか?
 本当に冤罪じゃないんですか?
 相手の方に会わせて下さい
 私が話します
 何処の誰なんですか?」

「被害者の方を教える事は出来ないよ
 それに本人も認めてる事だし、目撃者もいるんだよ」

「もしかしたら共犯者なのかも!!
 そうに決まってます
 夫は気が弱いから、きっとやってもしない事を強要されやったって言ったに違いないわよ
 被害者は主人の方なんです!!」


冤罪

被害者

解雇

共犯者

強要

きっと私に痴漢をした男の奥さんらしい人が、必死に警察官に言い放つ言葉が私の胸に突き刺さる

やっぱり、被害届は出さない方が良いのかもしれない

そう思った私は、再び女性警察官の元に行こうとした