密恋~貴方に触れたくて~

今まで友達なんていなかったから、お家に誰かを招くなんてした事がない

それに、あまり自分の事を話す事もないって言うか、話せるような話題がなかったし、きっと母は何かしら気付いていたのかもしれない

友達の事や学校の事を聞いたりしてこなかったし、話題と言ったら母の失敗談とかをネタに私を笑わせようとしてくれていた

でも、大学に入ってからは母に母の失敗談をネタにする事もなく、私が積極的に色々な話を母に提供出来るようになった

友達のいなかった私の唯一の友達だった母

私を理解し支えてくれた母

そんな母にとって、私が楽しそうに話す話題は私以上に嬉しそうな笑顔を見せてくれる

綺羅達もだけど、絶対に美咲ちゃんも我が家に招待しよう♪

お母さんに、もっと笑顔になってもらいたいしね


「お母さん、モモ、行ってきます♪」

「いってらっしゃい♪
 気をつけて楽しんで来なさいね」


私はモモの頭を撫で、元気に家から飛び出して行った

今日は2限からの講義だから、すこしゆっくりめの出発

でも、通勤ラッシュまではいかないけど電車内はかなりの人が居る

プシューっと開かれたドア

降りる人を待って、一番最後に乗り込むが奥には入れずドアの隅で鞄を抱き抱えるよいに立ち流れる景色を見ていると、なんだか違和感を感じた

初めは気のせいかと思ったが、やっぱり痴漢だ!!

ど、ど、どうしよう‥‥

こんな時、いつも俯いてしまう私

降りる駅まで3つ

毎回ではないけど、二回に一回の割合で必ず痴漢に遭遇してしまう

撫でるようにヒップを触られ、生足に汗ばんだ掌を触られると気持ち悪くて泣きたくなってきた


「ゃ‥‥めて下さい」


汗ばんだ掌を振り払おうと、小さいながらも声を出してみた

けれど見えない相手は、尚も私の足やヒップを触り続けていて、思わず周りを見渡すが目があったサラリーマンっぽい人には視線を逸らされてしまった

そ、そうだよね‥‥

誰もが関わりたくないよね

分かっている

誰も助けてくれないって、そんな事分かり切っている