紅蓮の鬼



「あーねさーん♪」


いきなりの暢気な声に、名前を呼ばれてさっきまでの緊張の糸がプツンと切れる。


声がした方を見れば百七十くらいの青年が此方にやって来る。


「空木(うつぎ)か」


ワタシは男に目をやる。


南は手を放す。


「ごはんできたけど食べる?」


「食べる」


ワタシは即答した。