紅蓮の鬼



「……あれは、誰だ…」


――誰なんだ


俺が目いっぱいに開いていると、ふと、女が俺を見た。


彼女の双眼は、猩々緋。


――そんなまさか


彼女は身を翻して、物陰がら出てきた紫と白い袴を着た人間たちの首を獲っていく。


死体となったその人間を襲うのは、まるで生きているような、黒と赤の焔。


――彼女が一番それを拒んでいたのに


焔は死体を包んで、燃やし、そこに死体なんてものは無かったかのように、小さな煤を作る。


それを俺と空木はただ茫然と見ていた。


――彼女が一番殺しているなんて