それを見て、俺は目を瞠る。 ――…あれは、誰だ…… 小さな背丈に、腿までありそうな長い緋色の髪。 赤黒い二本の角。 そして、深緋と墨汁を零したような真っ黒な焔を操る、女。 ふと、異臭が俺の鼻をかすめた。 ――この匂いは… そのことを思い出して、俺はバッと口を押さえた。 だってこの匂いは。 ――焼かれる人間が発する異臭