紅蓮の鬼



それからほどなくして、空木がこの部屋に入ってきた。


「無事!!?」


彼の息は少しも切れてなかったが、前髪が立っていた。


恐らく急いでここに来たのだろう。


「あ~……よかったー」


空木はホッとしたように、息を吐く。


「あ、戻ってきたんだ」


嬉しそうに彼が男三人を見る。


そして訝しい表情を浮かべた。


「……なんでびっちゃこなの…?」


空木の問いに男三人は苦笑し、駒繋を見る。


「♪~♫~♬~」


駒繋は頭の上で手を組んで、ワザとらしく吹けない口笛を吹いていた。


「あれ、この人どうかしたの?」


空木は今度は地べたにへたり込んでいる男を見つけた。


彼は男の頬をつんつんしたりして、遊んでいる。


――……空木がここに来たらなんか和む


ワタシがそう思ったのは秘密だ。