肉に何かが食い込む音が聞こえた。
この部屋が血の匂いで包まれ、ポタポタと滴り落ちる液体の音もする。
「部下?」
駒繋の心底不思議そうな声音だった。
ワタシの体は自由になっていて、男は驚きの表情を隠せないでいる。
「俺は色緋の駒繋という半鬼」
駒繋はたしなめるように、男に言う。
「姐サンに銃を突きつけるような、愚昧な行いをする貴方の部下なんて、」
彼は冷笑した。
「笑止いね、貴方の頭の中」
そして、自分の手のひらに食い込んだ銃弾を抜き取る。
グジュグジュという、あまり好ましいとは思えない音が響いた。
「姐サンを狙うなんて、」
駒繋は低い声で続ける。
「死んでも許されることじゃねぇ」
男を見る彼の目は冷たかった。
「次こんなことやったら、俺らは全力でお前らを叩き潰す」
駒繋はそう言い、ワタシに向き直った。
「申し訳ございません」
駒繋は片膝をついて頭を垂れる。
「姐さんを危殆に瀕さしてしまったことの処罰は甘んじて受けるつもりです」
と、らしくない言葉を並べた。


