「ここに来たということは、君が鬼の頭領?」
男はゆらりと立ち上がる。
「……そう、だが?」
ワタシは男を目で追う。
――…なんなんだ、この男
「君たちは僕らに従え」
「…………………」
ワタシは眉を顰めた。
男がスーツの内ポケットに手を忍ばす。
「君が首を縦に振らなければ、僕は君を殺すことだってできる」
余裕そうな表情を浮かべて、男は内ポケットから銃を取り出した。
「危害は加えない筈ですが?」
ドアの近くで立っていた駒繋が、苛ついたような口調で首を突っ込んできた。
「君は黙ってなよ」
男はそう言って、発砲する。
耳を劈くような音がこの部屋いっぱいに響いた。


