紅蓮の鬼



「そもそも何故、我等に構う?」


ワタシは眉を顰める。


「〝何故〟?」


男が口角を上げた。


「足下たちには害を加えてない筈だが?」


この男が血を噴き上げたのも、筋肉質な女が人間を粉々にしたのも、実は全て幻覚だと、楓太が教えてくれた。


ワタシは楓太が『殺したら戦争が始まるかもしんねーだろぉぉ…』と、青ざめていたのを思い出す。


「その通りだよ」


彼の発言にワタシは眉をしかめた。


「君たちは僕らには害を加えてない。だけど、僕らは君たちの力が欲しい」


「…………………」


――…あれだけの武器を使ってワタシらを狙ったクセに、なんて欲張りなんだ……