紅蓮の鬼



「呼び立ててすまないね」


彼はワタシにソファーに座るよう促す。


……この時ワタシは、少しの間だけでも〝高校〟に行っておいてよかったと思った。


そして彼は紅茶を差し出す。


「……で、答えは?」


男は紅茶を一口飲み、ワタシを見た。


「我等に干渉しないでいただきたい」


なんだかんだ言って、そういうことになった。


カチャリ、と男がコーヒーカップをお皿に戻した。


「そんな選択肢は無かった筈だけど?」


男の目が鋭くなる。


「どちらとも御免だ」


「そういうと思ったよ」


フゥ…と男は額を押さえて、息を吐いた。