それからどれくらい経ったかは、分からない。
もしかしたら、ものすごく長い時間移動していたのかもしれないし、案外そうじゃないかもしれない。
林を抜けたワタシ達はとある建物に着いた。
まるで人里離れた発電所のような場所だった。
建物の中に入って、駒繋について行く。
「紫苑様とわんこはここで待っていてください」
とある広い部屋で彼がそう言った。
「俺らは邪魔者……ね」
楓太が彼の眼を見て言い、椅子に座った。
部屋は殺風景だった。
真ん中に大きな卓子が置いてあって、それを囲むように椅子がある。
卓子の上には皿に盛られた果物があって、ここの部屋はどうやら茶の間のようだ。
「…………………」
――……なんで発電所のような場所でこんな部屋があるんだ?


