――――――――――――――――――――――――――――――――――………
微かな匂いを辿って、人間の元へ行っている時だった。
「……?」
嗅ぎ覚えのある匂いがして、ワタシは眉を顰めた。
それはワタシだけが思っていることではないようで。
「姐さん」
空木がワタシを呼び、足を止めた。
「どういうことだ」
楓太が訝しい表情を浮かべてワタシを見る。
「色緋の奴は帰ったんだろ」
彼らには昨夜あったボイコットの件は全て話してある。
「なんでここで駒繋の匂いがするんだ」
空木が南の方を向いた。
「……だって、駒繋。こんなとこで何してるの?」
空木は鋭い目をこちらに来ている駒繋に向けた。
「あ、俺、あの人間の中に知り合いが居たんで…あなた方を連れて来るよう言われたんです」
彼はそう言いながら、サクサクとこちらに足を進める。
「ついて来て下さい、こちらです」
彼は東の方を向いた。
夕闇が迫って来ていた。


