『藺草さんっ』
私が彼を見つけた時は、思った通り藺草さんはたくさん体に傷を作っていた。
彼の目の白眼の部分は黒く、黒目の部分は金色になっていた。
そして長くなった髪から顔を覗かせている角は、漆黒。
『……淋』
私は倒れている彼を抱き抱える。
『……藺草さんっ』
私は何度も彼の名を呼ぶ。
『そんな顔しない』
彼の手が私の頬に触れた。
零れた涙が藺草さんの手に触れる。
『……藺草さん…っ』
私はただ彼の名を呼ぶことしかできなかった。
もう見てしまったのだ。
もう分かってしまったのだ。
彼の死期は近い。
『……っ…』
涙が、止まらない。
私は彼の足が灰になってしまったのを、見てしまったのだ。


