『何の用です?』
良くない状況だと判断した藺草さんが人間たちを見て、低い声で言った。
彼の目には怒りの炎が静かに揺れていた。
『時間が無い。単刀直入に言おう』
年長の人間が言う。
『我らについてこい』
『!』
その言葉に私は目を見開く。
――ついてこい…!!?
一体、どういうことなのだろう。
私は彼を見る。
藺草さんは驚いている様子でもなく、呆れているようでもなく、ただ、年長の人間をじっと見ていた。
『お断りします』
そして彼は鋭い目付きで言った。
『知らない人にはついていくな、と教えを受けたもので』
そう言って、にこやかに口角を上げた。
『………………………………』
人間たちの目が点になる。
それを見た彼は部屋に入り、障子を閉めた。


