「裏切り者がいるとしか考えられん」 淋が低い声で言い、眉を顰めた。 「……………空木、」 淋が彼を呼んだ。 ――え、近くにいんの? でも、要の時のように返事はない。 「…どうせそこにいるんだろう?」 彼女は立ち上がって、障子を開けた。 「……バレてた?」 壁に背をもたれて、腕を組んでいる空木がいた。 「……ぬ、盗み聞き…」 「要も同じようなモンでしょ」