紅蓮の鬼




「……ちょ…ちょっと待てよ…」


俺の声は何故か震えていた。


「それホントにやんのか!!?止めとけって!!!」


お世辞にも広いとは言えない部屋で、俺の声が響く。


「話し合って解決するようなことじゃねーだろ!!?」


「そこまで頭が固くはないだろう?」


「……っ…」


正論を言われて俺は言葉を詰まらせる。


「確かにそうかもしんねーけど、」


俺は頭をガシガシ掻いて、「はぁぁあ」と大きく息を吐く。


「……いくらなんでも無理じゃねぇ?」


「…………………」


俺を見る彼女の目が冷たい。


「奴らにとって利がないと判断したら、話しても無駄だと思う」


「やってみなければ分からんだろ」


真っ向から俺と淋の意見が対立する。


こんなことは初めてだ。


「力で身をもって知らせるべきだってば」


「……戦ってどうする」


苛ついたような声音だった。


彼女が眉を顰める。


「恨みを買って前のように奇襲を受けるぞ」


「戦うのが恐ぇのかよ」


「恐いにきまっておろう、馬鹿者」


二人の低い声が響く。


「だからって逃げんのかよ」


この言葉を聞いた淋は、吠えた。


「戦ってなんになる!!?」


「っ」


彼女の眼には、少し涙が溜まっていた。


「数少ない同胞が死ぬだけだろうが!」


淋の言っていることは正しい。


確かにここで人間と力と力をぶつけ合って、追い返しても、体勢を立て直してまたやって来るだろうし。


追い返さずに根絶やしにしたとしても、得るものなんて何もない。


寧ろ戦ったことで、失うものの方が多いかもしれない。


俺は舌打ちをして、部屋を出た。