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「ここから先は鳥鬼の飛屋久の里だ」
淋を抱えている男が立ち止まり、俺らを見て言う。
彼に抱き抱えられている淋は、目を閉じていて、寝ているようだった。
「竜胆の里と同じだと思い込むなよ」
彼は俺らをギロリと睨んだ。
「「「…………っっ……」」」
――こっえぇ~
男は俺らがビビったのを確認するとスタスタと歩いていった。
里に着いたものの、出迎えてくれる人はおらず、閑散としていた。
家屋を見る限り、何十年と誰も住んでいないというのはありえないと思うが、やはり閑古鳥が鳴いているようだった。
男は淋を抱えたまま、一軒の一番小さい家屋に入っていく。
「わんこ」
男についていこうとしたら、名前を呼ばれた。
……………………。
いや、名前じゃないけど。
ほら俺、犬升麻だから。
犬といえば、わんこ。
で、『わんこ』って呼ばれて俺が振り返ると、要がいた。
振り返る際に、「なんでお前わんこって呼ばれてんだ」っていうことが顔に書いてある二人が目に入った。
「こっち」
彼はそう言い、右の方を指差した。
――あれ、要から『わんこ』って呼ばれたことあったっけ?
俺はそう思いながら足を進めた。


