紅蓮の鬼




「ちっ、つまんないわね」


ポーン姉さんが舌打ちをしてライターの火を消して、ごま油と共に納める。


「……………………」


俺は安堵の息を吐いた。


ふと、イヴァルの方を見ると、彼は淋を抱えている男が作り出したと考えられる、ゼリーのようなものを見ていた。


その中に、銀色のカマキリのような5cmくらいのロボットが数体いる。


イヴァルはそれを触ろうとしていた。


「触んな!」


鋭い俺の声が空気を裂く。


イヴァルはビクッと肩を跳ねあげて訝しそうに俺を見た。


「絶対触んなよ、それ」


「なんで?」


イヴァルが伸ばしていた手を渋々引っ込める。


「触ったら自分のコピー作られるらしい」


「「…………は?」」


俺とイヴァルのやり取りを聞いていたポーン姉さんと、イヴァルが顔を思いきり歪めた。


「ついた指紋かDNAか知らねぇけど、今の人間の医療技術?……でそれを材料にしてコピーを作り出すんだと」


だんだん二人の顔色が青くなっていく。


「あ、ついでにGPSもつけられるらしい」


「イーヤー!!!」


「なっ…なんでアンタそんなこと知ってんのよ!!?」


「ま…まさか実は人間のスパイ!!?」


「止めてくれ、冗談でも反吐が出る」


俺は苦笑して、続ける。


「どれもやられたんだってさ」


「!!?」


漫才が始まった時のように、イヴァルがピシーっと固まる。


「いつ!!?何が!!?何を!!?」


それと対照的に、ポーン姉さんは身を乗り出してスゴイ顔をして聞く。


思わず体が反る。


「に、2年くらい前だったかな……人間が俺らのとこに来たときに、それをやられて、力で追い返したって話」


ポーン姉さんは聞いたことがあるらしく、「あぁ、そう」とだけ言った。


因みにイヴァルはまだ固まっていた。