紅蓮の鬼




「竜胆ッ!!?」


水陰が「何やってんだ、馬鹿じゃねぇの!!?」とでも言いたげな顔をして、ワタシを仰向けにする。


幸いにもワタシの脳みそは、ブチ抜かれてはいないようだ。


「クッソ傷に入りやがった」


「なにを!!?」


「五月蝿い黙れ」


水陰の剣幕にワタシが大人しくなると、彼は奇襲を受けているというのに、この場でワタシの体に食い込んだ銃弾を抜きはじめた。


「同じ銃弾だ」


彼が呟く。


でも作業する手は止めない。


――人間か…


ワタシは眉を顰めた。


奇襲した奴らが此方に来ている気配がする。


『――…あと、三人か……』


ふと、あの男が言っていた言葉が頭の中でこだました。


「!」


――しまった!


「水陰逃げろ!」


ワタシは体を起こす。


「バッカ何してんだ!!!ドアホゥ!」


腹がズキズキと痛む。


痛みで意識が飛んでいきそうだった。


「…う……」


頭が重たく、クラリと水陰のほうに倒れる。


「ほら言わんこっちゃない」