紅蓮の鬼




「!」


突如、水陰が驚いた顔をした。


そしてすぐに焦った表情を浮かべ、目の前に水で出来た膜を張る。


膜を張った後、水陰はしゃがみ、身を小さくした。


「なんか来る!!!」


彼が言い終わるか否か。


水陰が向いている方と逆の方向から、火薬の匂いがした。


急いでワタシが水陰と背中合わせになるようにした時、音がした。


-----パッッ


それはまるで、高い場所からプールに大の字で飛び込んだ時のような音だった。


間髪を入れずにこちらに飛んでくる銃弾が見え始めた。


それも一つや二つじゃない。


「ちッッ」


ワタシは舌打ちをして、未だに身を小さくしている水陰に覆いかぶさる。


「…ぐッ……」


ドスドスッと銃弾がワタシの体に食い込んだり、掠る。


口の中が血の味で気持ち悪い。