「お、竜胆」 廊下を歩いていると水陰に出くわした。 彼の萌葱色の瞳がワタシを捉える。 「もう歩いても大丈夫――」 水陰がワタシの顔色を伺い、言葉を切る。 「……じゃぁ…ないな」 彼が呆れたように目を伏せた。 「横にならなくていいのか?」 「…いや、今は少し外の空気を吸いたい」 「ごはんは?」 「今はいい」 「あ、そ」