紅蓮の鬼





「手が早いのか、おまえの弟」


淋が腕を組んで言った。


「あ、そうそう。言い忘れてた」


「なんだ?」


「万が一、アイツに何かされそうになったら殺しても構わない」


「……は?」


彼女は「なに言ってんだ、おまえ」とでも言いたげな顔をする。


「アイツとは弟のことか?」


「あぁ」


「何故?楓太の肉親だろう?」


彼女が眉間にシワを寄せる。


「まぁ、そうっちゃそうだけど…」


んー…何て言えばいいんだろ?


「あ、じゃぁ、できる限り俺から離れんなよ」


こんな発言、自分でも馬鹿だと思う。


淋は案の定、「はぁ?」と言いたげな顔をした。


そして思いっきり呆れたような顔をする。


「自分の身くらい自分で守れるが?」


「いや、それは分かってんだどさ、こっちじゃ男の力のほうが断然強いんだよ」


勿論のこと皆が皆、俺みたいにヘタレでもなければ、弱い訳でもなくて。


俺だって一応男なのに、簡単にねじ伏せる淋より強いヤツがいるかもしれない。


それに、もし俺が近くにいたら加勢だってできるし!


「………………」


淋はつまらなそうに息をつく。


「おまえに守られるなどとワタシも落ちぶれたものだな…」


彼女はポツリと呟いた。


「………………」


――なんか似たようなのを聞いたことある気がする