紅蓮の鬼





「どけよ、邪魔だな」


結構びっくりした。


思ったより低い声が出たから。


さっきの低い声で怯んだ……っぽい弟の隙をついて、俺は淋の手首を掴んで自室に行く。


――…本当に怯んでたらいいのに


バタンとドアを閉めて、俺は一息つく。


はりつめた糸が切れたみたいに、ブワッと汗が吹き出る。


心臓なんか激しい運動した後みたいにバクバクいってるし。


「…あー緊張したー」


俺は壁に背をつけて、しゃがむ。


情けないことに、手が震えている。


――結構長い間、顔見てないから平気だと思ったんだどなー


「………………」


俺は震えている手を握る。


目を閉じて、ふーっと息を吐く。


「よし」


カッと目を開いて、立ち上がる。


――帰ってきたんだからしょーがねぇ


怖気づくわけにもいかねぇ。


跪かせてやる。