「……古い名字とでもいっておこうか。………ときに南、」 「ん?」 「鬼って存在すると信じるか?」 「…鬼?」 俺は眉を寄せて目を細める。 「…鬼って、あの角が生えている鬼か?」 俺が聞くと松谷はゆっくりと頷く。 ――………… そんな真剣な顔をしている松谷を見て、俺は思わず半目になる。 「イヤ、いねぇだろ。フツーに」 あっさりと言う。 「そうか……なら、自己紹介がまだだったな」 ふっと松谷が笑った気がした。