「で、淋。…あのさ、」


楓太が真面目な顔をしてワタシを見る。


何か決意をした目をしていた。


「俺は家に帰る」


「……………」


ザァァと冷たい風が、ワタシの髪を撫でる。


「だから、その、ついてきてくださぃ…?」


尻すぼみになりながら楓太が言った。


しかも何故か語尾に疑問符をつけたような感じで。


「……………」


ワタシが驚いていると楓太は、申し訳なさそうな顔をして「……ダメか?」とワタシの顔色を伺う。


「…いや、寧ろ有り難いが……」






――おまえ、



里に来た時は、『行く宛がない』とか言ってなかったか