紅蓮の鬼





「おゥっと!」


俺は千秋の攻撃をヒョイヒョイかわしながら逃げる。


といっても、ギリギリなんだけどね、俺。


「…………」


そしてチラリと、改めて千秋見る。


――……そろそろやべぇんじゃねーのか、淋


俺は眉を顰めた。


千秋のその姿は本能だけで動いているようで。


何も考えずに、目の前にいる獲物を狙う生き物の目をしていた。


目は綺麗な金色で、彼の口からは涎が垂れている。


目は綺麗だけど、明らかに殺気で満ちてる。


体は前に会った獣鬼ほど大きくない。


「ァ゛アァア゛ッッ」


――……これで獣鬼の力をモノにしたって言えんのか?


俺には寧ろ、獣鬼の力に千秋が飲み込まれているようにしか見えない。