紅蓮の鬼







「…貴様……」


淋のイラついたような声と共に、風が俺に淋の血の匂いを運んだ。


血が。


全身が熱くなるのが分かった。


「……マジ、ざけんな………」


喉が痛い。


畜生。


とりあえず俺は、二人が見えないように近くにある木に背を凭せ掛ける。


淋たちから距離をとっているものの、俺は襲いだしてしまうかもしれないから。


「いっぬ升麻ー?お前そっから出てこねーってことかー?」


……くそ…。


そんな俺の気も知らないで、花桂樹は言う。


「お前が出てくるように、竜胆を傷ダルマにしようか?」


花桂樹は鼻で笑った。


淋が「痛いのは却下だ」と言う声が聞こえた。







――いや、まず花桂樹から抜け出せよ