紅蓮の鬼






「!」


ふと香る、血の匂い。


俺は眉をひそめる。


「どうした?」


淋が俺の変化に気づいたようだった。


「血の臭いが近づいてくる」


それは確実にこちらに来ていた。


けど、血の量は少ない。


「血?」


彼女は顔を歪めた。


俺は頷く。


ザッと俺は淋から距離をとった。


…近くにいたら襲いそうで。


淋がいつものような仏頂面をする。


……………………………………。


「なんか俺、花桂樹が動物食って、返り血つけたまんまこっち来る姿が思い浮かぶんだけど」


「………」


何故かそんな姿が思い浮かぶ。


「……まぁ…人は見かけによらない、というからな…」


淋が苦笑した。