「分かってる、空木」 淋は悔しそうに言った。 ………考えてみればそうだ。 彼女が空木と一緒につくった里だ。 それなのに、 「あぁでもせんと千秋は護れん」 「……………」 空木は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。 「ワタシは千秋と出ていく」 ザァアと風が吹く。 「あ、俺も行くよ」 当然だ。 俺は淋の夫なんだから。 「あとは任せたぞ、空木」 淋が笑った。 風で彼女の髪が靡いた。