「楓太については、身寄りがいないため私の里で保護しました」
私は正直に話す。
それに、このことが分かるのも時間の問題だ。
「彼は頭はよくないものの、体術では空木とほぼ同じくらいだと言えます」
イチイ様は「なるほど」というように、腕を組んだ。
「して、私の伴侶というかたちで色緋に置くことにしました。勿忘草(わすれなぐさ)は渡していません」
「そういうことね」
イチイ様は納得したようだった。
「このこと知ってるのは?」
イチイ様が言う〝このこと〟は私と楓太が夫婦になったということではない。
本当の夫婦になるためには、『誠の愛』、『私を忘れないで』、『真実の友情』の花言葉を持つ勿忘草をどちらかが渡さなくてはならないのだ。
私は楓太に勿忘草を渡していないし、楓太から勿忘草をもらってない。
つまり、私と楓太はかたちだけの夫婦ということ。
「現時点では空木だけです」


