――刹那 何かに気づいた楓太はワタシの手を引っ張り、抱き締めるような形で跳躍した。 大きな音を立ててワタシと楓太がいた場所が崩れたのは、そのすぐあとだった。 「ォオォォオッッ!!!」 急に響きわたる咆哮。 聞いたことがある鳴き声だ。 鳴き声の持ち主は、曲げていた腰をゆっくりと真っ直ぐにして、ワタシ達を見る。 「淋……あれって、」 楓太が声を震わせる。 大きな木より一回りも二回りも大きい体。 金色に光る両目。 尋常じゃない破壊力。 「あぁ、獣鬼だ」 お伽噺に出てくるような鬼。