「淋、」 空木は怪訝な顔のままワタシを見る。 「藺草(いぐさ)様の代わりじゃないよね?」 「!」 その言葉でワタシの動きが止まる。 『――おいで、淋』 あの人の声が頭の中で響く。 …楓太があの人の代わり? 冗談にも程があるぞ、空木。 ワタシは目を閉じて、息をつく。 「愚問だ」 そして空木に笑ってみせる。 空木はホッとしたように微笑んだ。