「白鬼に本名を知られたら操られるよ」 空木は真剣な目をして俺に行った。 けど、空木の口は綺麗な弧を描いていた。 「だから、俺らは本名で呼び合わないの」 「……んじゃ…お前は何ていうんだよ?」 「紫苑(シオン)」 空木が言ったと同時に風が吹いて、どこからか銀杏が舞ってきた。 「鬼の醜草だよ」 シコクサ? 彼はそう言って銀杏と微笑んだ。 それはとても儚げだった。 ………ように見えた。