男は、銀色の着物を着て、色淋と同じような黒い羽織を羽織っていた。 背の高さは空木より少し高い。 「その気になったか?」 男は妖艶な笑みを浮かべて淋を見て言った。 「…………」 淋は息をついた。 「なるわけなかろう、花桂樹(はなけいじゅ)」 少し呆れたように、男に言った。 すると、男と空木は堪えきれず失笑した。