ヒカリの唄





由梨に連れられて、カフェにやって来た。



こじんまりとした、落ち着く場所だった。



カフェに入ると奥の方に案内された。



そこには、由梨と同じ制服を着た胸まであるストレートの髪を2つに結び、あかぶちメガネにマスクをした女の子がいた。



「きょうこ、みんな来たよ」



その女の子は俺たちの顔を見てペコリと頭を下げた。



「直くんと文篤、そこに座って」


促されて、由梨は《きょうこ》という子の隣に座り、直哉は由梨の正面に、隣に俺も座った。


「じゃあ、なんか頼もう。マスター、今日はサービスしてくれるって」



「んじゃ、俺はブラックにする。文篤はどうする?」



「俺もブラックで。」



「私たちは、モカでいいよね?」



《きょうこ》という人は、『うん』とうなずいた。



「マスター、ブラック2つとモカ2つお願いしま~す。」



由梨がカウンターにいる黒いサングラスをかけた40代くらいのおじさんに言った。



「コーヒー待っている間に紹介するね。まずは、瀬川直哉。私の彼氏
隣にいるのは、笹原文篤。幼なじみで、俳優志望なんだよ。」



『俳優志望』と言った瞬間、女の子の目は大きく見開いた。