私は、世間から『天才女優』とよばれていた。
私が女優になれたのは、全て3歳上の姉の夏川結子(ナツカワユイコ)のおかげだった。
私が女優デビューしたのは13歳のとき
それまでの私は、地味で冴えなくて、勉強だけがとりえだった。
本を読むことが大好きで、小学生のとき夢は作家か脚本家になることだった。
12歳のとき、姉妹で好きな作品がドラマが放送された。
でも、いまいち主人公の演技がイメージと違ったから、お姉ちゃんの前で自分なりにアレンジして演技をしてみた。
するとお姉ちゃんは拍手してくれた。
そして、こう言った。
「杏子、凄いね。あたし、びっくりしちゃった。このドラマの主演の女優さんより演技うまいよ。女優やってみたら、杏子に凄いむいていると思う。」
お姉ちゃんのこの言葉で、私の世界が広がった。
『女優』という大きな一つの選択肢を与えてくれた。
女優に興味をもつようになって、いつの間にか私の夢は女優になっていた。
私が演技の練習をすると、お姉ちゃんは必ず見てくれて、私の夢を応援してくれた。
そして、私自身も変わろうと思った。
地味で冴えなかった私は伸ばしたいほうだい伸ばした髪を切って、カールパーマをかけた。
それから、メガネをやめてコンタクトにした。